じゃあ、どうやって守ろうか。

 腐朽菌やシロアリ、壁体内結露の悪影響のおはなしは前回書きました。
 では、具体的にどんな対策をとるか、というのが今回のテーマです。
 色々な方法があるでしょう。家を建てる前に、知っておく。そして選べる。
 参考になれば幸いです。

 湿気を閉じ込めない素材と構造が、家を元気に保つのに重要であることは
 お分かりいただけたかと思います。
 では、壁体内結露を起こさない為にできること、考えてみましょう。
 断熱材の種類と性質を知ることで、選びやすくなるでしょう。

 「グラスウール」と言えば、一度は耳にしたことがあると思いますし
 近年の住宅にはほとんどこの、グラスウールが使われているようです。
 断熱性能で見てみると、壁内部にどれくらいの量を使うか、ということで
 違ってきます。たくさん入れればそれだけ断熱性が上がるというわけ。
 性質から見ると、湿気を溜め込む・調湿性にとぼしい。施工はしやすい。
 価格的には、一般的に使われる断熱材の中でも一番手ごろでしょう。
 しかし、一度湿気を溜め込んでしまうと断熱性能が落ちてしまう素材です。
 言ってみれば、濡れた毛布にビニールをかぶせた感じ。
 家がその毛布に包まれているようなもの。そして隙間からはいった雑菌で
 カビや、ダニの住みかに変わってしまいます。

 「羊毛断熱材」。これは羊毛でできている断熱材です。
 断熱性能としては、やはり厚みに比例して変わってくる素材です。
 羊毛なので、調湿性に優れています。湿気を吸っても、それを外部に
 吐き出すので、カビやダニの発生も抑えられます。自然素材なので
 化学物質が出る心配もありません。
 価格は、グラスウールと同程度の手ごろさ。施工もマット状なので便利です。
 おうちがセーターを着ているってことですね。

 「ポリスチレンフォーム」石油系発泡ボードの断熱材です。
 断熱性能は非常に高く、調湿性はありません。ボード状なので施工は簡単。
 価格はやや高めです。断熱性の面から見ると高性能ですが、石油系という
 ことで、健康を考えた時に??という感じです。

 「セルロースファイバー」木材の繊維から取れるセルロースで作られた断熱材。
 これも、断熱性は高くマット状で施工しやすい素材です。
 廃棄する際には、土に還るので環境にもやさしいと言えます。
 価格はポリスチレンフォームと同程度で、繊維状なので調湿性があります。
 原料が天然素材の為、脱臭効果・防虫効果も期待でき、化学物質で
 汚染される心配もありません。火災時も、炭化するので燃え広がることもなく
 安全と言えます。

 と、長々と書いてきましたが、選ぶ基準としてはどこを重視するかということに
 なりますね。上記の素材はすべて省エネ基準をクリアできる素材であり
 必要な厚みを確保することで断熱性は安定します。
 あとは、室内の空気環境と家の呼吸を妨げないことを考えていけば
 家も、住む人も元気な「おうち」になるでしょう。

 さて、断熱材だけでなく、断熱方法も知っておくといいかもしれません。
 空気の流れと換気方法をふまえて、次回は断熱方法のおはなしを…。

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